【前編】蔵前ローカルラウンジ#4 秋田県羽後町

ひと しごと もの こと ~秋田県羽後町 「うごまち未来の学校」から始まる未来志向の地域の作り方~
2018-11-28

こんにちは。フラクタルの菅野です。
11月21日に地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」さんで秋田県羽後町さんと蔵前ローカルラウンジ#4を開催しました。なぜ羽後町さんが蔵前ローカルラウンジを開催することになったのか。そして、イベントレポートを2回に分けてご紹介します。

●蔵前ローカルラウンジとは?

これまで蔵前ローカルラウンジでは、兵庫県養父市さんと一緒に養父市が抱える様々な地域課題に対して、東京に住む「地域にちょっと興味のある方」や「地域で実際に活動されている方」と話し合い、そして、その課題の解決に向けて参加者の暗黙知を表出化しアイデアやプロセスを導き出してきた。

全3回の開催を通じて達成できたこととして、小さい成果かもしれないけど、東京の生活者に対して「読めない(知らない)まち」養父市をいろいろと「読める(知る)まち」にすることができたと思う。

例えば、物産・移住定住系の大型イベントなどに参加し1,000人の参加者が1つの自治体のブース前を通ったとする。実際、イベント終了後にどのくらいその自治体のことを認識してくれるだろか。そして、自分の言葉でその自治体のことを伝えることができる人がいるだろうか。

蔵前ローカルラウンジでは、最大でも1回20人までしか参加者を募らない。なぜならば、限られた時間の中で、ひとりひとりの参加者とお話をして関係性を構築するためには20人くらいが限界だからだ。

当然ことながら、参加者は、その自治体のことををかなり深くまで知ることができるし、実際に地域の方と共に脳に汗をかき一緒に課題に対して取り組むことで、地域のイマを自分事としてとらえるようになる。このコアなファンが毎回20人の生まれるという点においては、1回の大型イベントに参加するより価値を創造できるのではないだろうか。

●関係人口の先にあるもの

いま多くの自治体で、「関係人口」を創出するために様々な取り組みを行っている。関係人口とは、「移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人」(総務省HPより)とのことである。ちょっとその地域が気になったり、応援する方のこと。ミニマムな範囲では、アンテナショップ等で地域の特産品の購入したり、ふるさと納税でその地域を応援することである。

関係人口から交流人口となり、そして、最終的には移住してもらうこと目標としているところが多い。しかし、私たち、東京の生活者が地域へ移住することはとてもハードルが高い。なぜならば、今までの都市の生活から180度変わるのは当然として、なによりも移住後の生活ということに対して、うまくイメージすることが難しいからだ。

もし、自分が生まれ育った地元に戻るというならば少し話は変わってくる。幼少期含めてそこでの生活がイメージできるからだ。自分が生まれた地元に戻ろうと思い、行動に移すためには何が必要だろう。まずは、その地域に対する想いがあること、そして、仕事に関するところがポイントになってくるのではないだろうかと思う。

今回、蔵前ローカルラウンジを開催する羽後町のある秋田県は、少子高齢化や進学等による流出に伴う人口減少ランキングでは上位にある。そして、県内のほとんど自治体が消滅可能性都市となっている。秋田県に限らず多くの地方都市では、この人口減少のサイクルから、自然増・社会増に持っていくことは難しい。ただし、この人口減少という流れを止めるのではなく緩めることは可能だ。

●「うごまち未来の学校」は、マチの未来への投資

羽後町では、この人口減少の流れを緩やかにするために独自の取り組みを行っている。その1つが「うごまち未来の学校」だ。地方創生事業の一環として行う「まちの未来をつくる人と場所を育てる」仮想の学校である。

こどもから大人まで、地域・年代・国籍問わず自由に参加できる学びや体験の時間を提供している。なぜ、町全体としてこのような取り組みを行うのだろうか。その答えとして、羽後町では、地方創生とは町の未来に投資することとして位置付けているからだ。

「うごまち未来の学校」を通じて、「町の将来で活躍する子どもたちを町全体で育て、活躍できる場所を作っていくこと」を目的として様々な事業を行っている。自分が子どもの時にこのような取り組みがあったらどうだろう。少なくとも自分の地元に対して、良い思い出として愛着を持つ「きっかけ」になると思う。仮に進学等で地元を離れたとしても、将来的にUターンという選択肢も生まれてくる。

人口減少を食い止めるために、多くの自治体では、様々な形で子育て支援や移住者に対して補助を行っている。例えば、中学生まで医療費無料とか直接的な支援が多い。これも住みやすい町として、そして、シビックプライドの向上含めて大事な施策だ。だが、子どもたちが将来その地元を選択するかどうかという点においては、地元にもつイメージが大事なのではないだろうか。

それゆえ、「うごまち未来の学校」では、町民全体で、地域の子どもたちが希望を持てる町にするため、町に住むことの良さや、羽後町にある「今ある」仕事の魅力を伝える。そして、活躍できる場を整備するため、将来に残る魅力ある「しごと」を創り出すために様々な取り組みを行っている。これからの羽後町を支えていく人財を育てること、そして、その人財が活躍できる場を提供することによって人口減少を緩やかにしていこうとしているのだ。

この「うごまち未来の学校」を運営する人口減少対策プロジェクト担当しているのが、今回の蔵前ローカルラウンジのゲストとしてご登場いただいた佐藤正和さんだ。佐藤さんとは、東京で開催された移住・定住系のイベントで知り合った。そのときに「うごまち未来の学校」についてご説明いただいたが、パンフレットをいただいた時点では、「あぁ、地域のコミュニティスクールか」しか思わなかった。

佐藤さんからお話を聞いているうちにその想いと町全体で取り組んでいこうという気概が伝わってきた。東京で生活をする私たちが、何かお手伝いできることはないだろうかと考えるようになった。蔵前ローカルラウンジでは、地域に興味のある方や実際に活動をされてる方が多く集まる。それゆえ、この参加者の集合知を活用することで東京から羽後町の取り組みを発信であったり、サポートすることができるのではということで開催することになった。

●実は、秋田県羽後町についてよく知らなかった。

どんなに素晴らしい取り組みを行っているとはいえ、東京の生活者にとって正直なところ馴染みのないマチであることには違いない。私も羽後町については知らなかった。

羽後町を簡単に紹介すると、「秋田県南部に位置し、あきたこまちを中心とした水稲を主に栽培する豊かな穀倉地帯。西部地域は、標高200〜350mの出羽丘陵八塩山塊に属する山間・高原地帯となっている。冬は、多いところで2mを超えるほどの積雪がある豪雪地帯だが、夏には、国の重要無形文化財に指定されている「西馬音内(にしもない)盆踊り」が開催され(8月16〜18日)、多くの観光客が優雅で先祖と一体化したような幽玄な世界に酔いしれる。また、羽後町は全国的に推進されてきた平成の大合併には参加せず、地域住民の顔がみえる単独立町を宣言し現在にいたる。」とのこと。

日本三大盆踊りとして「阿波踊り」と「郡上おどり」は知っていたが西馬音内盆踊は知らなかった。ということで、蔵前ローカルラウンジを開催する前に一度羽後町を訪問(訪問時の記事はこちらからどうぞ(前編後編))してみた。記事にも書いたが、このマチは、もしやりたいことがあるならば、やってみようという文化。そして、その取り組みについて支えていこうという気質が溢れるマチということ。

羽後町の豊かな自然、とりあえずやってみようという気質、そして、「うごまち未来の学校」。この魅力をどのように伝えていけばよいか。養父市さんのときもそうだったが、イベントを開催するにあたって知らないマチに対してどのくらい集まるのかという不安がなかったわけではない。

●蔵前ローカルラウンジ受付3日間で満員御礼に

私のそんな不安は杞憂だった。

募集開始後、3日目にはほぼ満員御礼状態に。今回、募集を開始して面白いことがあった。このイベントに関しては、SNS(Facebook)のイベントページしか告知を行っていない。けど、私の個人のアカウントで、このイベントについて投稿してみたら、ダイレクトメールで「秋田県出身なので参加します!」、「秋田県好きなんだよね!」とか秋田県出身の方から隠れ秋田ファンの方までたくさんご連絡をいただいた。

嬉しい誤算だ。だからこそ、しっかり伝えたい。そして、少しでも好きになってもらうためにはどうすればよいかということについて佐藤さん・羽後町出身で横浜在住の鈴木さんと話し合った。

難しいことではなくて、羽後町を知り、そして、少しでも好きになってもらい自分事化してもらえるか。この蔵前ローカルラウンジを通じて表層的な関係ではなく、深く羽後町に対してコミットできるようなコミュニティができればいいなと。まずは、羽後町の現状と「うごまち未来の学校」を知ってもらい、いま抱えている課題に対してアイデアや解決に導くプロセスを語り合うことになった。

今回は、秋田県羽後町の人口減少対策として「うごまち未来の学校」に関する取り組みについて、そして、蔵前ローカルラウンジを開催するまでの経緯についてお伝えさせていただいた。次回は、イベントレポートとして、佐藤さんの想いの詰まったプレゼンテーション、そして、今までにないくらい白熱したワークショップの様子などをお送りいたします。お楽しみに。

■「蔵前Local Lounge」とは
単一の地方自治体では継続的に実施することが難しい東京でのプロモーション活動の一環として、自治体の担当者が、地域の現状や課題を来場者に対してプレゼンテーションを行い、来場者と共にワークショップを通じて語り合い、地域内では生まれにくいアイデアやプロセスを導き地域課題の解決につなげていく語り合いの場。また、毎回、参画した地方自治体の美味しい特産物を「うちのもの」としてご提供し、参加者に対して地域の食文化の豊かさを身近に感じていただく。

■地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」
Guest House + Cafe/Bar + Design Office
東京都台東区浅草橋3-10-8
TEL:03-5825-4076
URL: http://www.littlejapan.jp/

■株式会社フラクタル
フラクタルのシティプロモーションは、本来あるべき地域の理想の姿から地域と共にマーケティング戦略を考え、課題解決力のあるコミュニケーションデザインを通じて効果的なプロモーション戦術を構築します。
東京都台東区蔵前1 -7-7 アイランドビル7F
TEL: 03-3866-1938
URL: http://www.fractale.co.jp/

蔵前ローカルラウンジ担当:菅野 秀和(カンノ ヒデカツ)
福島県郡山市出身。東日本大震災を契機に地元の為に貢献できることは?という命題のもと、地域活性化コンサル会社や農業ベンチャーにて実際に地域に移住しつつ業務を行う。2017年10月より株式会社フラクタルのシティプロモーション担当として、全国の自治体に対してコミュニケーションデザインを通じた地域課題の解決への取り組みや都市部での地域魅力を伝えるために奔走中。

(本件に関するお問い合わせ先)
株式会社フラクタル
コミュニケーションデザインユニット
シティプロモーション担当:菅野 秀和
Mail:h.kanno@fractale.co.jp

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