【東京都葛飾区】葛飾は田舎?葛飾会議がつくる都市のコミュニケーション

ひと しごと こと ~東京でのマチと地域のつながりを考える~
2018-12-04

京成電鉄の各駅停車しかとまらない京成立石駅。最近は大衆居酒屋の聖地として、昭和のノスタルジーを感じるマチとして、都内在住者に限らず、様々な地域から立石に訪れ人が増えてきている。そして、今回、葛飾区を盛り上げている有志が集まり、夜な夜な面白い会議を行っているというので参加してきた。

住んでいるまちをせまくする」をキーワードとして、人と人の距離が近づき、起きていることが自分事となりマチとの距離が近づくプロジェクト「葛飾会議」。イベントやプロジェクトを知る機会、課題や相談する機会、面白い人と出会う機会を作り続けることを目的として活動している。地域に存在するいろいろな知見を集め、地域のこれからについての取り組みを行っている。中学生から社会人まで幅広い年齢層が参加しているのも特徴の一つだ。

今回の葛飾会議では、葛飾区から自分の求める理想的なエコライフを目指して千葉県睦沢町に移住した辻榮亮さんにご登壇いただき、「東京と地方「も」せまくしちゃえナイト!ライフシフト時代の「住」を考えるスペシャル」として開催。人生100年時代が到達し、多様性のある生き方や時間の使い方が注目されているが、地域で暮らすということ、そして、地方に人が動くためにはどうすればよいか語り合った。

◎暖かく受け入れてくれるアットホームな空気感
初めて参加する地域コミュニティ系のイベントというのは毎回緊張をする。なぜならば、そこには既にコミュニティが成立しており、会話に入り込むことに躊躇してしまうからだ。しかし、私の緊張は「すぐ」に溶けてしまった。初めて参加する私に対してもメンバーが気を使ってくださったのか色々とお声掛けをしてくれるのだ。いいぞ葛飾会議。

定刻となり主催である森谷さんから葛飾会議の趣旨と本日の内容について説明。ちょっと面白かったのが「質より量、人の意見に乗っかかろう、ポジティブでいこう、時間厳守でいこう」ということ。

いろんな方の暗黙知を形式知化させるためには、まずは想いや考えを発散してもらうことが大事。そして、その優れたアイデアたちをどのように形にしていくのかポジティブに語り合う。このプロセスが面白いのだ。自己紹介も終わり会場の空気感もあったまったところで、辻榮さんのお話がスタート。

◎移住したからわかる地域のリアルとフェイク

最近まで葛飾に住んでいた「総天然素材で土に還る革製品」職人である辻榮亮さん。千葉県睦沢町に移住して取り組んでいることや、移住したからこそわかる地域のリアルとフェイクについてお話いただいた。色々な自治体のシティプロモーションのお手伝いをしている私としては、移住者が感じる地域のリアルとフェイクというのは大変興味深い。

まずは、地域でお世話なっているご夫妻の事例をもとに移住後の生活について説明。例えば、地域には仕事がないというイメージされがちだ。しかし、実際には仕事がたくさん(特に介護職)あるのだ。ただし、都心で暮らしていた時と比較すると賃金水準は下がってしまうだろう。もしかしたら、仕事に生きがいを見出している方に移住は難しいかもしれない。しかし、仕事以外のライフスタイルに価値を見出すことができる方にとっては、地域での暮らしというのは魅力があふれているという。

なぜならば、自分がやりたいことが実現できる喜びがそこにあるからだ。それゆえ、東京での生活と比べて不便なところが無くはないが、大して問題ではないという。また、移住先である睦沢町にも葛飾会議と同じように地域を盛り上げるコミュニティがあるとのこと。睦沢町に移住を考えたときに、地域の方とつながりをもつことができるコミュニティの大事さというのを改めてを実感したという。

辻榮さんが睦沢町に移住を決めた理由、それは、自分が目指すライフスタイルを実現することができるからだ。睦沢町では、町の電力を再生可能エネルギーで賄うためにメガソーラー発電所を設立したり、また、千葉県房総半島では天然ガスが採掘されるということで、化石燃料に頼らない自然の循環に適合した生活を過ごすことができるのだ。そう。睦沢町は、辻榮さんが目指すエコライフが実現できるマチなのだ。

辻榮さんは、これから新しい家を建てるというがその家にもこだわりがある。水道の代わりに井戸を掘削し、太陽光によるオフグリッドでの電力の活用など、社会インフラを全て外した家だ。それでも生活ができるという。私たちが思うエコな生活って、何らかの制約があって然るべきものとイメージしていたが、そうではないと辻榮さんは語る。不便な暮らしをしなきゃいけないのがエコの暮らしではない。普通の生活をエコで過ごせるというような家にしたいし、体験したい方はぜひ遊びに来てほしいとのこと。

辻榮さんのお話にも出てきたが、知られていないマチ、観光資源の無いマチが交流人口を創出することって結構ハードルが高いと思う。だからこそ、どの自治体も関係人口を創出して興味を持ってもらおうと努力している。本日のテーマである「地域に求めて、行きたくなるコト・モノってなんだろう」って、地域にとっては本当に知りたいことなのだろうなと思う。

◎目線が違うから面白い。
辻榮さんのプレゼン後、今回は3つのグループに分かれてワークショップを行った。まずは、個人で「地域に求めて、行きたくなるコト・モノって何?」というテーマをもとにアイデアラッシュ。異なる年代・業種の方が集まっているため、一人一人の知見を活かしたアイデアがでてくる。「質より量」。そして、時間厳守でおこなうため集中力が高まる。個人のアイデアが出そろったところでグループで共有。

各グループとも実現可能性の高いアイデアが発表される。面白かったアイデアの一つとして「何もしない時間」を過ごすということ。わかる。情報過多の時代の中で、体験型のアクティビティとして自分を取り戻す「ゆったりとした時間」というコンテンツもありだと思う。

各グループの発表に対して、今度は辻榮さんが求めるエッセンス(天然・エコ)を追加して再度アイデアをブラッシュアップさせていく。各グループとも特色に応じたコンテンツができてきた。ちなみに私がいたグループでは、食育及び生態系の循環という観点から、1回だけの訪問ではなく年間を通じて食材を栽培・収穫・捕獲をするところから行う体験型コンテンツを提案。自然豊かな睦沢町をイメージしてのアイデアだ。

そして、最後はブラッシュアップしたコンテンツに対してのプライシング。コンテンツを自分事化して様々なケースを想定して語り合う。自分たちのコンテンツの適正価格について発表しワークショップが終了したが熱量は高いままだ。

今回の参加したメンバーにとって、このワークショップを通じて睦沢町が気になる地域の1つになったに違いない。

◎最後に辻榮さんから大事な話があった。

移住してダメだったら帰るという選択肢もある」ということ。

これって、すごい大事なことだと思う。

夢や希望をもって地域へ移住したとしても、様々な要因で移住くらしをすることが難しくなる状況が発生するかもしれない。だからといってそれで全てが終わるわけではないということだ。一度、都市に戻るのも選択肢だろうし、違う地域にいくのも一つだと思う。

もし、地域への移住を考えていたとしても、今までの生活から180度変わること想像すると慎重になるだろうし、失敗したらどうしようという思いが出てくるはずだ。そのときは、先に移住している先輩に聞いてみるのも一つだろう。自分が想う理想的な未来に対して実現できるマチなのかどうか判断するための1つになるはずだ。今回の辻榮さんのお話は、都市との関係性を持ちながら地域での自己実現を目指す新しいライフスタイルだと思う。


最後に「移住してから気づいた葛飾の良さとは?」という質問があった。

葛飾は田舎くさいですね(笑)

住んでいるからこそわかる感覚だと思う。地域に入れば入るほど近隣との関係性の強さ・近さを感じると思う。ネガティブな意味でとらえるのではなく、お互いを思いやり尊重して楽しむことができる関係性。地域にあるこの暖かい関係性が葛飾にもあるということだと思う。そして、葛飾会議では、この関係性を大事に日々の活動を通じて「住んでいるまちをせまくする」をより深化させていくのだろう。

■株式会社フラクタル
フラクタルのシティプロモーションは、本来あるべき地域の理想の姿から地域と共にマーケティング戦略を考え、課題解決力のあるコミュニケーションデザインを通じて効果的なプロモーション戦術を構築します。
東京都台東区蔵前1 -7-7 アイランドビル7F
TEL: 03-3866-1938
URL: http://www.fractale.co.jp/

シティプロモーション担当ディレクター:菅野 秀和(カンノ ヒデカツ)
福島県郡山市出身。東日本大震災を契機に地元の為に貢献できることは?という命題のもと、地域活性化コンサル会社や農業ベンチャーにて実際に地域に移住しつつ業務を行う。2017年10月より株式会社フラクタルのシティプロモーション担当として、全国の自治体に対してコミュニケーションデザインを通じた地域課題の解決への取り組みや都市部での地域魅力を伝えるために奔走中。

(本件に関するお問い合わせ先)
株式会社フラクタル
コミュニケーションデザインユニット
シティプロモーション担当:菅野 秀和
Mail:h.kanno@fractale.co.jp


tags