【ふくしまイノベびと】未来をつくる「幸福の花」を届けるイノベびと(後編)

ひと しごと もの こと ~かつらお胡蝶蘭合同会社 杉下博澄(38歳)~
2019-01-18

避難指示解除後、生まれ故郷である福島県葛尾村で「かつらお胡蝶蘭合同会社」を立ち上げ、胡蝶蘭の栽培をおこなう杉下博澄さん(38歳)。前回は、杉下さんが震災後の新たな産業として、なぜ葛尾村で胡蝶蘭の栽培をはじめたのか、また、胡蝶蘭に対する想いをお話しいただいた。日々、胡蝶蘭と向き合い葛尾村の未来を見据えている杉下さんの魅力についてもう少し掘り下げてみたくなった。

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今回、インタビューを行った福島県立原町高等学校の吉村さんと若盛さんがポロっとつぶやいた。

「杉下さん、好感度が高すぎます。」

その言葉の意味がわかる気がする。

農業に対して知識が無い高校生に対してひとつひとつ丁寧に説明する姿、同じ職場で働くスタッフに対しての敬意、そして、この胡蝶蘭を通じて葛尾村を支えていこうとする想い。インタビューを通じて、杉下さんの「まっすぐ」な想いが伝わってくるのだ。

まっすぐな姿勢は人を魅了する。

「手先は器用なんだけど、生き方は不器用なんですよ。幾つものことを同時に考えることはできない。」

杉下さんは少し照れ臭そうに話す。

飾ることなく等身大で出来ることを考え、そして、実行する。

2018年から栽培を開始し、初出荷に至るまで多くの困難が待ち受けていただろう。予測しなかったこともたくさん発生しただろう。そして、他の人には話せないような悩みもあったことだろう。

杉下さんが醸し出す空気感。

それは、この葛尾村に住んでいる方、外からの方、男性・女性問わず「挑戦したくなる農業」「次世代に残す農業」を作り上げていこう、そして、葛尾村の未来を創っていこうという強い意志から生まれるのではないだろうか。

「いまは胡蝶蘭に100%の力を注いでいます」

その言葉に偽りないと思う。

胡蝶蘭栽培を始めて、お休みの日も趣味である食べ歩きよりも胡蝶蘭が気になり温室に足を運んでしまうという。

杉下さんにとって仕事のやりがいについて質問してみた。大事に育てている胡蝶蘭のつぼみが開くとき、この葛尾村の温室に足を運んでもらって胡蝶蘭を見て褒めていただいてもらったとき、そして、胡蝶蘭を評価して販売してもらえるときだという。

胡蝶蘭の花言葉:「清純」「幸福が飛んでくる」

杉下さんが栽培している胡蝶蘭「ホープホワイト」が多くの方の手に届くということ。

それは、購入した方、プレゼントとして贈られた方に限らず、葛尾村に住んでいる方、そして、これからの葛尾村の未来について幸福が飛んでくるに違いない。

「葛尾村から想いを届ける希望の花を!」

ひとりのまっすぐな想いから葛尾村の未来がまさに花開こうとしている。

<編集後記>

そうそう、杉下さん。

良い意味でひとつだけ自分を理解していないところがありますよ。

気配りができるほうではないとお話されていましたが、取材する高校生に対して「寒くないですか?」と気を掛けてくれるところ、取材後に杉下さんが栽培する「ホープホワイト」を1本ずつお土産でプレゼントしてくれるところ。

十分にすぎるくらい気配りができる方だと思いました。

●かつらお胡蝶蘭合同会社
葛尾村の農業再生に向け、新たな価値創出に向け意欲を燃やす3農家・1企業が集まり、2018年1月より胡蝶蘭の栽培を開始。現在、県内だけでなく大田市場など首都圏への出荷もされ、品質が高く評価されている。

(文:株式会社フラクタル 菅野秀和)

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