【ふくしまイノベ人】生まれ育った地元から日本の未来のエネルギーを支えるイノベびと

ひと しごと もの こと ~常磐共同火力株式会社 勿来営業所 國谷亮介(26歳)~
2019-02-23

地元を愛するからこそ、地元のために、そして、日本のエネルギーを支えていくということ。

今回の「ふくしまイノベびと」は、IGCCと呼ばれる石炭ガス化複合発電を含む石炭を主とした火力発電を行う常磐共同火力株式会社勿来発電所で働く國谷亮介(26歳)さん。

「IGCC」とは「Intergrated coal Gasfication Combined Cycle」の略であり、石炭をガス化させることでガスと蒸気のタービンを二段階で回転させ、効率の良い発電を実現。CO2排出量も低減できる次世代の石炭火力発電だ。

正直なところ、今回の取材をするまでは、聞いたことのない言葉だった。また、世界的に注目されている発電所が勿来にあると思ってもいなかった。

「ここが日本の戦後復興を支えたように、IGCCが新興国の経済成長を支えるインフラとしても期待されています。」

國谷さんは、この勿来発電所から車で5分ぐらいのところで育った。そして、この勿来発電所も子供のころから見慣れた風景であり、社会科見学でも訪れたことがある当たり前の場所だった。

福島工業高等専門学校の3年生だった春休みに被災した。自宅は高台にあったため津波の被害は受けなかったが、公共インフラが停止していたため一時避難することになった。その後、大学では化学を専攻していたが、入学時から福島に戻ると思っていたという。

就職活動では、様々な選択肢の中で大前提となったのが福島で働くということ。なぜ、この常磐共同火力株式会社で働きたいと思ったのか質問してみた。

「もともと子供のときから馴染みがあったということ、震災後にエネルギー分野に興味をもっていたということ、そして、地元の復興に貢献したいという思いがありました。」

大学時代、研究室で化学に没頭し白衣を着てフラスコを振っていた学生が、この勿来発電所にある世界唯一の空気吹きIGCC(10号機)の運転ができるエンジニアになった。学生時代に専攻していたこととは全然違うことを行っているため大変だという。しかし、どのような作業でも新鮮であり、なによりも、世界最新鋭の施設にいれるということ、そして、実際に携わっていられることがやりがいだという。

2020年には、福島県の経済再生を後押しする産業基盤や雇用機会の創出を目的とする世界最新鋭のIGCCが運転開始するという。そこでの活躍が期待されているのが國谷さんだ。

「石炭は、他の化石燃料と比較して採掘可能な埋蔵量が多く、そして、安価であり供給面からも安定していたため、石炭の火力発電における役割は大きかった。そして、このIGCCに携われているということは、日本の未来のエネルギーを担えているという思いがあります。」

私は、國谷さんの言葉から日常の業務に対する誇りと強い意志を感じた。

今回、インタビューをおこなった福島県立相馬高等学校の門馬さんから、ふくしまの中学生・高校生に伝えたいことはという質問があった。

少し考えてから國谷さんは微笑みながら語った。

「家族や地元を大事にしてほしいです。」

地元を愛するからこそ、地元のためにできること。その1つの答えがIGCCを通じて福島から日本のエネルギー、そして、世界のエネルギーを支えていくということ。

國谷さんが語るその姿は数十年後の未来を見ていた。

●常磐共同火力株式会社 勿来発電所
常磐地区の低品位炭を有効活用して、安定した電力の供給を行うことを目的として、1955年に設立された石炭火力発電所。戦後、日本の高度経済成長を支える主要電源となったほか現在に至るまで石炭使用に関わる先端の技術開発を行う。

(文:株式会社フラクタル 菅野秀和)

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