【ふくしまイノベびと】相馬LNG基地から地元の復興につなぐイノベびと

ひと しごと もの こと ~石油資源開発株式会社相馬事業所相馬LNG基地 渡部和宏(29歳)~
2019-02-21

ひとつひとつの業務を安全に丁寧に取り組むということ。

福島県新地町の相馬港にて、国内最大級となる23万kL地上式LNG(液化天然ガス)タンクのほか、LNG気化設備、LNGローリー出荷設備、LNG内航船・外航船桟橋などを備えた相馬LNG基地。この相馬LNG基地が位置する「4号ふ頭」は震災後に整備拡張され、隣接地には天然ガスを燃料とする火力発電所の建設も進められており、復興への起爆剤として期待されている。

今回、「イノベびと」として取材を行ったのは、この相馬LNG基地で内航船・外航船、タンクローリー車等の荷役業務を担う渡部和宏(29歳)さんだ。

日程の都合上、高校生のインタビューと撮影を2回に分けて取材を行った。私は少し後悔したところがあった。インタビューを行った福島県立相馬高等学校の菊地さん、森さんにも現場に立つ渡部さんの姿を見てもらいたかったと。

相馬LNG基地のある新地町出身の渡部さん。大学進学を機にいわき市に住むようになり、卒業後はいわき市内で就職をしたが、その胸の中には漠然とした思いがあった。

「地元に戻る」ということ。

インタビューでは、少し緊張している面持ちの高校生を安らげようとひとつひとつの質問に対して笑顔を交えながら回答する渡部さん。偶然だが、インタビューを行った高校生の1人と通った幼稚園から高校まで同じところだったということもあり、途中からは和やかな空気の中で行われた。

休日は、釣りによく行っているということ、一度地元を離れてからこそわかった地元の良さなど、インタビューを行った高校生たちにとっては、何でもお話しできるような優しいお兄さんとして映ったかもしれない。そして、自分たちが生まれ育った地元が、多くの方の想いと努力によって復興がここまで進んだということも。

後日、取材チームは渡部さんの業務風景を撮影するために改めて訪問させてもらった。そこで作業する渡部さんの印象はインタビューで感じた印象と異なるものだった。

定時に到着したLNGタンクローリーの運転手とコミュニケーションを図りながら液化天然ガスを積み込む渡部さんの表情は厳しい。

バルブの開閉、数値の確認等ひとつひとつの業務に対して安全かつ慎重に行う。ひとつ間違えると大事故につながるため、その場に立ち会わせてもらった私たちにも緊張感が伝わってくる。一瞬の気の緩みも許されない。そのような空気感が広がっていた。

60分後、LNGの積み込みが完了し、LNGタンクローリーが相馬LNG基地から出発したとき、渡部さんから安堵の表情がこぼれた。

インタビュー中の渡部さんと同じ表情だ。インタビューをした高校生たちは、現場で作業をする渡部さんの姿を見たときにどのような感想を持っただろうか。言葉では表現することができない、本気で仕事をする大人の格好良さを感じ取ることができたはずだ。

最後に渡部さんに夢について質問してみた。

「地元復興の手助け」

この相馬LNG基地から送り出されるLNGが地元の復興を支えているという渡部さんの想い。

それは、私たちの、そして、これからの浜通りの未来を支えていく大事な仕事の一翼を担っているという誇りとして感じることができた。

●石油資源開発株式会社相馬事業所 相馬LNG基地
相馬港において、国内最大級のLNG(液化天然ガス)タンクを有し、海外からのLNGの受入れや、貯蔵・出荷を行う一大拠点。東北エリアならびに新潟・仙台間ガスパイプラインを通じて日本海側と太平洋側への天然ガスの安定供給に寄与している。

(文:株式会社フラクタル 菅野秀和)

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