日本酒の作り手が伝える「燗」の醍醐味とは? 「燗くら〜べ」

こと 酒逢(SAKEOH)
2017-03-07

こんにちは、亀岡です。
暦の上では春ですが寒い日が続きます。やっぱりまだ燗酒が冷えた体にしみるなぁ・・・でも注文するとき困ったことないですか?そもそも日本酒そのものだけでナントカ米だ、何割削っただとか、さらにちょっと凝ったお店に行くと燗だけでぬる燗とか人肌燗とか色々あって・・・

「とりあえずいい感じの燗で・・・」とオーダーし、20年以上もやり過ごしてきた私にぴったりの燗酒を飲み比べるイベント「燗くら〜べ2017冬」に参加してきました。

イベント主催の酒逢(SAKEOH)代表の松本さんに話を聞いてみた。

「燗くら〜べ」をはじめたきっかけは?

お店で接客をしていて感じるのが、お客様が日本酒と思われているのは居酒屋などで飲む冷たいものなんだと思います。お燗をして温めて飲むのは、他のアルコールには無い飲み方なのに、日本酒好きのお客様でさえ認知度が低いです。お燗によるさまざまな味の変化を楽しみながら、比べることで自分に合った日本酒に出会えるきっかけとなればと思い、このようなイベントを企画しました。

ちなみに「燗くら〜べ」とは、ローマ教皇を決める「コンクラーヴェ」の様に選挙で投票するからだとか。

ゲストの蔵元さんは茨城の銘酒「霧筑波」醸造元の「浦里酒造店」さん。酒逢さんブログで紹介

日本酒のおいしい飲み方は蔵元に聞くのが一番!ということで代表の浦里浩司さんにお話を伺いながら、実際に燗酒の試飲をしてみました。

そもそも燗ってどう作るんですか?僕はレンジでチンなんですが。

やっぱり湯せんが一番なんです。でも最近は徳利の無い家庭が多いので「ちろり」をお勧めします。アルミやステンレス製だとネットでも安価に購入できるので、自分の好みの温度で召し上がって欲しいですね。

そうなんですか・・・やっぱりレンジと湯せんでは違うんですか?

熱いだけなら電子レンジのチンでも良いですが・・・やはり湯せんの方が柔らかくなると言うか、味が膨らむと思います。お燗向きのお酒でも温度によって味わいが違ってきますので、冷と燗を飲み比べてもらい「燗上がり」を実感して欲しいですね。冷では感じられない、温めることにより現れる味わいがあります。

※燗上がり・・・日本酒を温めることで旨味が引き出されておいしくなること。

確かに冷だとすっきりですが、燗にすることで香りも引き立ち、味のふくらみを感じました!

日本酒には数え切れないくらい味の要素がありますが、人間の味覚は曖昧なんです。お燗にすることで酸味がある酒は旨味に変わったり、甘い酒はダレると思われがちですが、そのまま柔らかくなったりすることもあります。

日本酒づくりでこだわりはどこにありますか?

こだわりは「熟成」ですね。日本酒づくりは昔と違って低温で貯蔵できるので老香(ひねか)という劣化臭が出ないように上手に熟成できるようになりました。しっかり熟成させないと出せない味がありますし、発酵の荒さを取るためには熟成しか無いのです。

現在は熟成させる環境も機械的に作れるし、バイオによって香りが出やすい酵母もあり、日本酒はバリエーションで勝負する時代になってしまいました。流行りのラーメンのようにニンニクや魚粉もあれもこれもの足し算で作る味では飽きられてしまいます。できるだけ余分なものを削ることで、また飲みたくなるシンプルな味を追求していきたいと考えています。

皆さん、美味しいお燗でホロ酔いになりながら、蔵元さんの話に盛り上がり、最後の最後まで笑顔の絶えない楽しい会でした。

そして参加者が実際に飲み比べた燗酒総選挙では銘酒「霧筑波山廃吟醸」が特に人気を集めていました。

「丹精込めて作ったものは、その本当の楽しみ方まで知って欲しい。」

それはものづくりでも、酒づくりでも、本気で「作る」人に共通する「情熱」なのだと感じました。

最後に浦里社長へ質問です。実際に「冷と燗」のどっちが好きですか?




「私ですか?」





「私は真面目な蔵元なので・・・
酒とギャンブルはやりません!」

「でもスイーツは大好きです!」



蔵元、お酒飲まないのですね・・・(笑)

小難しいうんちくを語るより、まずは飲んで比べてみて・・・そんな作り手の人柄に触れて、日本酒を前より身近に感じられるイベントでした!


取材・撮影|亀岡勇人

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